Greens千葉〈連載1〉「選挙制度改革で死票を減らし、日本にも民意を反映した政治を!」:女性議員を増やそう!


(開かれた議会シンポジウムでの発言ビデオ)
   

 近年ヨーロッパなど諸外国では住民の視点に立って進められる福祉や環境政策の充実が伝えられていますが、日本ではそれどころか、閉塞感ばかりの世の中です。私は長年、さまざまな市民運動に関わるうちに、政治を動かしている「しくみ」そのものに根源的な問題があることに気づいたのです。すなわち、日本とそれらの諸国との間における選挙制度の違い。調べていくうちに唖然としたわけです。「民意を反映した」選挙制度、あるいは行政運営ということがキーワードです。ところが今の日本では、国政でも地方政治でも二大政党化。小選挙区制のもとでは少数政党、少数会派への投票は死票となってしまうため、有権者の民意を真に反映した議会とはなりません。選挙制度を見直すことで、有権者の意識や議会の運営のあり方が大きく変わり、日本の政治も大きく転換することでしょう。ここで、昨年の参院選でいち早く選挙制度改革を掲げていたマニフェストをご紹介します。

1−5 民主主義
 国会を世論の縮図とするため、選挙制度を改める。
衆議院は政党を選ぶこととし、定数480の全国比例を基本とした制度とする。参議院は人を選ぶこととし、定数240の大選挙区(複数の都道府県から構成される全国10程度の選挙区)とする。

1−6 地域主権と住民自治
 自治体議会についても比例を基本とした選挙制度を導入して、住民意思を適切に反映できるようにする。
(川田龍平と応援する人々の基本政策集〜動けば変わる 生きるって楽しいと思える日本へ〜 2007より抜粋)

 比例代表制選挙が国会だけではなく地方議会にまで及んだら、短い期間で女性議員が大幅に増加するでしょう。諸外国の中には、国・地方とも議会議員選挙は比例代表制であり、各政党(会派)はそれぞれの国の定めに従って女性にも一定の議席数が割り当てられるしくみが導入されています。世界各国の議員交流を進める列国議会同盟(IPU)の調べによる、世界188カ国における女性国会(下院)議員の比率を見てみましょう。先進国の中で日本は最下位です。

女性議員の国際比較 (07年12月現在)
出典:http://www.ipu.org/wmn-e/classif.htm
順位 国名 比率(%)
1 ルワンダ 48.8
2 スウェーデン 47.0
3 フィンランド 41.5
4 アルゼンチン 40.0
5 オランダ 39.3
6 デンマーク 38.0
7 コスタリカ 36.8
8 スペイン 36.6
9 ノルウェー 36.1
10 キューバ 36.0
105 ルーマニア 9.4
105 グルジア 9.4
105 日本 9.4


 上位にある国のいくつかで、比例代表制選挙のもと各政党が国の定めに従って、あるいは自発的な取り組みとして、男女交互の比例代表名簿を作成し、投票日の数ヶ月前から有権者に示して判断を求めます。そして各政党の得票率に応じて上位から当選者が決まっていくので、女性議員も順番に選ばれていくわけです。フランス地方議会では、「パリテ法」に基づいて独自の方式が取られています。東北大学教授・辻村みよ子さんの論文「政治・行政とポジティブ・アクション(後述)」によると、フランスにおいては「比例代表(2回投票)制選挙(人口3500人以上の市町村議会議員選挙)では、名簿登載順6人毎に男女同数とする」と定められています。また、韓国について「04年3月に政党法を改正して『政党は比例代表全国選挙区・国会議員選挙候補者中100分の50以上は女性を推薦しなければならない』と定め…(中略)…政党法改正直後の04年4月14日の総選挙では、比例代表選挙区について全政党が候補者名簿に男女交互に登載し、57名中29名の女性議員が選出された」と述べています。同論文によれば、日本の地方議会の女性比率は05年現在、全体で8.8%。議会ごとには左下の表のようになっています。


日本の地方議会における女性議員
出典: 辻村みよ子(東北大学教授)『政治・行政とポジティブ・アクション』
議会 比率(%)
町村 6.4
10.6
都道府県 7.2
特別区 21.8

 日本の女性は諸外国の女性と比較して政治に無関心であるから、議員の割合が少ないのでしょうか?決してそうではありません。

 「ポジティブ・アクション」は「積極的格差是正措置」と訳されますが、70年代以降欧米では、雇用や労働における支援から選挙制度の改革に至るまで、様ざまな分野で男女の平等を実現する施策が積極的に展開されてきました。女性議員の比率はそれらの成果を如実に反映しており、男性中心の政治を是正するための当然な措置であるという共通認識があるようです。日本でも、06年の男女雇用機会均等法改正において、個々の企業が男女労働者の間に事実上生じている差を自主的に解消するための支援策が図られていますが、政治の分野ではまだそうした発想すら非常に乏しいのが実情なのです。

 次回は首長制度が持つ問題点にも斬り込んでいきたいと思います。