Greens千葉〈連載4〉
ノルウェーの政治制度(11月7日)
「北欧はここまでやる…」


(開かれた議会シンポジウムでの発言ビデオ)

田口 房雄(柏市/開かれた議会をめざす会)
                          
 「『女性が活躍できない社会とは、人的資源の半分を無駄にしていること』(女性政策研究家・三井マリ子氏)、理念先行で具体性に乏しい日本には実に耳に 痛い言葉だ(※1)」に、議論の余地はまったくありません。そこでまずノルウェーの実例をいくつか紹介します。

 「機会均等法第21条では、4名以上の構成員による委員会や審議会等を公的機関が任命・選任するときには、両方の性が40%以上選出されなければならな い。(※2)」

  「06年に株式上場企業の役員のうち4割を女性にするという法律が施行、08年1月から本格適用、違反企業には上場廃止処分も辞さない(※1)」

 ノルウェーではここまで厳密に、女性の政治参画について規定しているのです。更に「内閣では組閣に当たって、大臣の4割を女性にするという慣行…(※ 1)」もあるのです。

 今までの男性中心社会の歪みを修正するために、このような一時的なポジティブ・アクション(積極的男女格差是正措置)を日本でも取り入れてみてはどうで しょうか。他の北欧諸国とも同様にノルウェーでは市町村議会議員選挙は比例代表制で実施されるので、かなり民意が反映される議会になり「女性議員の割合は 34%、執行委員会での女性は37%(99年)(※1)」であるのに対して、日本では4.6%(98年)なのです(※3)。

 また、日本のような首長選挙はなく、絶大な権力を持つ首長は存在しないので、議会中心の執行委員会で議員が部長や局長になって地方行政を運営していま す。

 「ノルウェーの地方議員は市議も県議も、首都オスロなどの大都市の理事を除いてほとんど無給。理事とは国の内閣にあたる最高執行部のメンバーで議員の中 から比例代表制で選出される。(※3)」 つまり、与野党を交えた、多様な価値観を持った理事たちによる政策決定がなされているのです。また議員たちは昼間、正規の仕事を他に持っているんですね。

 「ノルウェーの場合はすでに成熟した市民社会が成立しているからできるのであって、日本では時期尚早だ」と考える人に、私は指摘したいと思います。「人 々の政治への関心を大きく左右する選挙制度や行政システムをこのように変えれば、日本人も自ずと変わってくるだろう」と。

 最近立ち上げられたばかりの政治団体「みどりの未来」は、このようなヨーロッパスタイルの政治を最も全面的に取り入れているので、私は大いに期待をして いるのです。


※1「特集・北欧はここまでやる。格差なき成長は可能だ!」、週刊 東洋経済、2008年1月12日号
※2 岡沢憲芙編、『ノルウェーの政治』、早稲田大学出版部、2006年
※3 三井マリ子著、『男を消せ』、毎日新聞社、1999年