選挙制度修正投票3:「早分かり投票の手引き」

選挙制度修正投票の推進こそが世直しの第一歩なのです。(1)(2)にそって投票してみてください。

理想的には政党レベルからの提案があれば良いのだが、これからもずっとこのような提案がないと予想されるので、自発的・個人的レベルで下記のような「選 挙制度修正投票の実施」を一刻も早く全国民に呼びかけて欲しいのです。これが日本社会を早期に飛躍的に世直しする唯一の方法なのです。もちろん、既存の具 体的政策提案型や問題解決型などの政党・市民活動の重要性も認めています。 

旧来のように、ただ漫然と「私たちの政策を支持してください」と国民に訴えるだけでは、二大政党制の流れを是認する世論には勝てません。そして少数平和希 求政党(共産・社民・みどりのテーブル・新社会)の活躍をも願う国民の良心も、投票に結びつく可能性が現状のままでは極めて難しいのです。

なぜなら既存の政治活動においては「死票を避けたい」とする国民感情を配慮していないからです。有権者の希望と合致していても、候補者落選の「死票」にな ることが、ほぼ確実であるならば、それを回避する投票行動を取る人々は多数でしょうし、投票を棄権する人も大量に発生するわけです。それは有権者が政治に 無関心なのではなく、余りにも切ない結果を予想するからなのです。

このような有権者の切実な投票心理を、なぜ政治活動を展開している人は無視するのでしょ うか?それに追い討ちをかけるように「政治の貧困は選挙で投票した国民・市民の自業自得」とする考え方も根強い。八方ふさがりの状況に対して、何らかの活 路を示したのが、ここに述べた提案なのです。もうこれ以上、日本社会の劣化の進行を何としても食い止めなければならないのだ。目からうろこが落ちるような 奇想天外な発想を全国に広めるために、下記の選挙制度修正投票を提案いたします。これは投票のマニュアルですから、これにそって投票しましょう。

(1) 1人が当選するような選挙区(首長選、衆院選小選挙区、参院選地方区や都道府県議選の1人区)では死票を避けるという意味で二大政党に関わりのあ る人に優先的に投票する代わりに、2人以上が当選する選挙区(衆参議員選挙の比例区・複数定数区、都道府県議選の2人区以上、市区町村議選の大選挙区)で は(あまり思い悩まずに)超優先的にAで示した小数平和希求政党(かつての社会党が主張していた比例代表制選挙の実施を、今の社民党は唱えていないという 欠点を考慮してください)に投票しよう。

(2) 衆議院の小選挙区制を改めて、より民意が反映する完全比例代表制を主張しているのは日本共産党、みどりのテーブル(前身は前参議院議員の中村敦夫 が代表を務めていた、旧「みどりの会議」)、新社会党、そして前回、参議院東京地方区で当選を果たした川田龍平さんです。

日本の選挙制度は圧倒的に二大政党に有利に作られています。西・北ヨーロッパではほとんど実施されていない知事・市区町村長(首長)選挙を初め、ほとんど が1〜2人区の参議院地方区、1〜3人区が郡部でかなり多い県議会議員選挙、本来ならばミニ政党に対しても平等的扱いであった衆議院比例区にても、11ブ ロックに分けるまではいいのだが、補正議席(北欧ではある)の制度がないので、ここでも二大政党に有利な選挙制度になっています。このような条件下で「二 大政党による政権交代の可能性を求める」という世論は、少数平和希求政党の排除を願う権力者集団の国民へのマインドコントロールの輝かしい成果といえるで しょう。このようなマスメディアによる世論形成に対抗するには、国民が自分に忠実な投票をしても死票のほとんど出ない、民意を反映した国民の縮図となる議 会の成立をめざして、選挙制度修正投票をすることが最も重要なことなのです。

比例代表制選挙の実施と平和希求勢力とは、現状では社民党を除いては一致していますが、今後の展開次第で両者は一致しないことも当然考えられます。「憲法 改正」を求める人々との共闘・大同団結の場面も必要となるでしょう。

比例代表制のように会派に投票する方法と選挙区選挙のように立候補者個人に投票する方法とどちらがより優れているか?

この議論がメディアで取り上げられる時代になったら、日本は衆議院で完全小選挙区制がすでに実施され、大統領制(首相公選制)などが視野に入っている時で しょう。そこまで進んでしまっては、もう引き返すことはできないのです。今のアメリカを見ればそれは分かると思います。無意識のうちに二大政党への投票を 誘導されて、民意が暗示にかけられたように二大政党の人々のみが当選する・・・それが良いのでしょうか?民意が反映された国民の縮図となる議会の成立こ そ、最優先課題と考えて、私たちは個人レベルでの選挙制度修正投票を呼びかけています。

(1)(2)に挙げたような選挙制度修正投票以外に「早期に」民主主義の手法に基づいた日本社会の改革をする方法があったら、是非教えてください。私たち にはその答えが不明です。何の権力も持たない私たちがどうやって世直しをするかを考えたとき、この投票方法をまず全国民の皆さんに実践してもらい、せめて ヨーロッパ並みの民主的選挙制度を確立することが、全ての出発点なのです。

そして、次の目標は下記の提案です。

(A) 国会も地方議会も北欧のように比例代表制選挙とする。そしてまだどこの国も実施していない50%ずつの男女別枠比例代表制選挙(法律に明記された もの)をポジティブアクション(積極的改善措置)として実施をめざしたい。もし比例代表制を悪とするならば、次善の策として、現行の選挙制度を維持した上 で、男女別枠選挙区競争選挙でも大きな進歩となるだろう。ただし民意は今まで通り反映されず二大政党の女性に有利に働くが、やむを得ないでしょう。首長に ついては男女共同首長とするべきだと思う。ドイツの緑の党は男女共同代表制をとっているのだから、決して不可能な話ではないだろう。政党の役員や企業の管 理職などへの波及効果も期待できるので、男女別枠選挙の実施が急務だ。

(B) 北欧のように首長選挙を廃止して、議会中心の地方政治をめざそう。選挙の廃止が不可能ならば知事や市長などの政治的権限を大幅に減じた法律や条例 を作ろう。1人に権力が集中する制度は、その1人を懐柔させるための不当な暴力や圧力を掛けやすく、政治的腐敗が起こりやすい。人間というものは「弱いも の」であり、理想と信念が有権者の知らぬままに、いつの間にか消えうせていることが多いのも世の常。有権者が当人を見抜けずに投票してしまうのを責める前 に、やるべきことは首長選挙の是非を中立に議論して、廃止をめざすべきだろう。

(C) 中道左派勢力と中道右派勢力による政権交代が頻繁に起きています。比例代表制選挙で男女交互の立候補者名簿によって、たくさんの女性議員を成立さ せているのも西・北ヨーロッパの場合です。それに対して日本の場合は、小選挙区中心の衆議院では、自民党と民主党のほぼ単独政党による政権交代が起きよう としています。

選挙制度修正投票というのは私たちの造語ですが、他には「熟議投票」「戦略的投票」という言葉が使われることもあります。民意を反映した男女半数ずつの、 議会を中心とした政治が完成した後にも、劣悪な政策が実施され、私たちの生活が不幸に見舞われるのであれば、これこそ自業自得で、全ての災いに甘んじなけ ればなりませんが、実態はその逆でしょう。私たちはここで、国民の皆さんに「早分かり投票の手引き」を示しました。(A)〜(C)のような制度的変化が起 きれば、そこには希望の光か、最悪でも日本滅亡への「悟りの境地」が私たちの心の中に現れるでしょう。

このような提案を皆さんに読んでいただいて、私は心から感謝するもので、お礼を申し上げます。皆様方が関わっていらっしゃる市民活動の繁栄を、これからも ずっと私は期待しております。永久に忍耐強く頑張りましょう。

2008年1月26日

田口房雄   選挙制度修正投票・全国会議